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TOHO
INTERVIEW

2026.08.21

第117回 子どもと一緒に遊べる先生に

教育学部子ども発達学科

渡邊 明宏 講師

渡邊 明宏(わたなべ・あきひろ) 名古屋市出身。名古屋市立大学大学院人間文化研究科博士後期課程単位取得退学。大学助手、保育系短大の講師などを経て、2024年から愛知東邦大学講師。

 幼児教育・保育の研究者と聞くと、誰しもが「さもあらん」とうなずく優しそうな雰囲気の渡邊講師。大学協議会で今年度の「授業実践に関する優秀教員」として表彰されることが決まりました。研究テーマとしての「伝承遊び」と、授業実践との関係などについてお話を伺いました。

 ――幼児教育を選んだのはなぜですか?

 高校以降の進路について悩んでいるなかで、かつて自分も通っていた保育園や、そのときの先生のことが思い起こされました。最初から明確に念頭にあったわけではないのですが、心の根っこにはあったのでしょうね。調べるなかで、現金なものですが、教員免許や資格といった「手に職」としての魅力もあって、保育系の短大に進学しました。短大卒業後は、引き続き保育を学べる4年制大学に編入学しました。

――その分野の学びを続けることにしたのですね。

 短大で子どもの育ちや保育の基本や実践を学んで、おもしろいなと思ったんですね。そして、短大の教職員の方に勧められたこともあり、大学への編入学という道を知りました。それまでは漠然と「保育を深めたい」という思いだったのですが、編入学した名市大で巡り合ったゼミの先生は、子どもの身体や運動の育ちがご専門でした。自分は運動が得意ではなかったのですが、その先生の研究に少しずつ携わらせていただき、学外での調査や測定について先生の背中からも学びました。そして伝承遊びを勧められ、なかでも私自身もかつて楽しんだ「鬼ごっこ」を卒論のテーマにすることにしました。

――伝承遊びと保育とは、どういう関係なのですか?

  保育では「子どもがやりたい」こと、すなわち「遊び」がベースです。そのなかで、身体や運動の「育ち」だけでなく、集団でのルールや役割を通して社会性、また自立に向けた生活習慣なども含め、全面的な「育ち」を助長するものです。その遊びの内容として、素朴だから自分の身体を活用しなければならない、またルールも「かっちり」とはしていない伝承遊びに注目している、ということです。その特性やメリット、園での活用が研究テーマです。

――伝承遊びについて説明してください。

  一言で伝承遊びといっても、鬼ごっこやかくれんぼといった仲間と行う「鬼遊び」から、コマやお手玉、メンコ、けん玉といった道具を操作するもの、折り紙やあやとりなどの指先をつかう室内遊びなど、さまざまな遊びがあります。楽しんだ経験があれば、ルールや方法は、そのときの情景とともに、身体が覚えているものです。経験がなくても、反復するなかでちょっとしたコツがわかれば、大人もできるようになります。また、環境に応じて柔軟にアレンジすることもできます。今ではインターネットで調べたり、わかりやすい動画として参照したりもできますね。

――授業ではどのように取り入れているのですか?表彰理由には「わかりやすさ」があげられていますが。

 例えば指導計画を学ぶ科目では、立案の前段階として、遊びの教材研究に取り組みます。漠然と言われても戸惑うでしょうから、取っ掛かりとして、折り紙の「折り方を仲間に伝える」ことから始めてみます。自分が選んだ折り紙を試作して深めながら、コツや他者への伝え方、あるいはその作品を使った遊び方、アレンジの仕方など、自分なりに「研究」してもらいます。そして、授業内なので、小規模で交替しながら少人数のワークショップを開催してみる。そうすると、反省点も含めて立案にあたって望ましい流れや、ぜひ盛り込んでおきたいポイントが見えてきます。こうした体験を前提にして、後半では模擬保育の立案と実践につなげていきます。
 また、学外実習をひかえた時期には、時間をぬって継続的に伝承遊びに取り組みます。コマのひもの巻き方、投げ方といった基本から、「手のせ」までチャレンジします。お手玉もやってみます。それまでに経験のない学生も、基本を正しく押さえて反復練習すれば、少しずつできるようになります。そして成功したときには、仲間と喜びを共有しています。こうした経験は、地道に継続する姿勢や、実習先で出会う、めざましい育ちの途上にある子どもの達成感や気持ちに共感する素地につながると考えています。
 伝承遊びを通した実体験が、理論的な理解や体感につながるように、ということを考えて授業にあたっています。そして、保育・教育者をめざす学生には、多くの伝承遊びやその楽しさを知って、できるようになって、将来は子どもたちに教えて一緒になって楽しめる存在になってほしいと願っています。

 ――保育者を目指す学生や、愛知東邦大学に対して一言。

  実践では明るく、仲良く、ワイワイ楽しんでやっていますが、やるときは真面目にやります。だから実習先でもほめられる学生が多いですね。いろいろな「遊び」を知って、園では子どもと共に一緒に楽しめる、朗らかな先生になってほしいと思います。
 大学では、学生ともども私自身も、のびのびと取り組んでいます。愛知東邦大学は環境の整った、雰囲気も素敵な大学だと思います。

「伝承遊び」の準備中

コマの手のせも、この通り

学生を指導する目は厳しい時も

教室にて

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