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TOHO
INTERVIEW

2015.07.19

【第8回】「小さいを活かす」大学に。行き届いた目で学生の個性を育てたい

経営学部地域ビジネス学科

山極完治教授

元学長、企業論

山極完治(やまぎわかんじ)

長野県出身。中央大学商学部卒、同大大学院商学研究科博士後期課程修了。博士(商学)。敦賀女子短期大学助教授、東邦学園短期大学教授を経て現職。2007年4月から2011年3月まで学長。2015年4月から地域創造研究所所長。著書に『民間企業とシルバービジネス』(共著、中央法規出版)など。

 経営学部の山極完治教授は、90年に本学に赴任して25年、2007年からは4年間、学長を務めました。その際、打ちだした小規模大学ならでは本学の強みを生かす教学方針には、時を超えた二つの広告キャンペーン「Think small」(シンク・スモール)と「Think different」(シンク・ディファレント)があったそうです。

――学長に就任されたのは愛知東邦大学が東邦学園大学から校名変更した2007年。どんな方針での教学運営をめざしましたか。

 東邦学園短期大学(2008年3月閉学)の最後の学長も1年間兼務しながらの就任でした。就任した2007年は人間学部が新設されて、経営学部との2学部体制がスタートした年でした。他大学にない本学のみの「強み」をつき詰めてみると、それは、小規模大学ならではの良さをどう教育に生かすかではないかと考えました。思い浮かんだのがドイツのフォルクスワーゲン社の戦略です。フォルクスワーゲン社は、1959年、大型車が全盛のアメリカ市場に、「Think Small」という、今では伝説的なキャンペーンを展開して挑みました。カブトムシで知られるワーゲンは小さいが、性能も燃費はいいし小回りも効くと。愛知東邦大学も小さい大学ですが、その分、学生一人ひとりに目の行き届いた個別対応の教育が出来る。それこそが大規模大学ではできない強みではないかと思いました。「BigでなくSmallを活かす道」を徹底する方針でした。

――個々の学生の顔が見える大学ですね。

 そうです。学生数が1400人そこそこなら、教職員が、学部学生個々の名前と顔を一致させるのも難しいことではありません。授業だけでなく、学生生活や就職活動でも個々のサポートが可能ですし、それぞれの学生の良さを引き出す指導もできる。 1997年アップル社は、物事をまるで違う目でみると、制約された人生を超えて人生を変えられるとした「Think different」の広告キャンペーンのスローガンを打ちだした。その根底には、固定概念をなくして新たな発想で自分を、物事を見つめなおし、人生を変えるとする哲学がありました。本学でも学生たちの多様性や個性が生かされる教育が求められているわけです。本学の学生たちの中には、思わぬ行動とか、意外な発想をする個性ある学生たちがいます。ちょっとした刺激で大化けする潜在力のある学生たちが魅力です。「Think Small」に「Think different」重ね合わせて、小さな大学ならではの行き届いた目で、学生たちの個性を育て、潜在力を引き出す教育をめざそうと思いました。こうした考えをベースに、入試戦略でも学生と教職員の距離の近さをアピールする「スゴチカ」が生まれました。

――授業では、前期で「現代企業論入門」、後期では「女性とビジネス」「女性と企業社会」などの科目を担当されています。企業での女性の活躍が、なぜ進まないのか、どうしたら進められるかという講義ですか。

 中心のテーマの一つがそれです。日本の企業経営では、女性が活躍できる環境はまだまだ整っておらず、閉塞感があると思っています。買い物の意思決定する7割は女性。製品の作り手の意思決定が男性であっても、買い手であり、使い手であり続けてきた女性の声が届かなければ売れる商品にはなりません。しかし、企業の中では女性の管理職や役員はまだまだ少数です。女性を生かす企業は男性にとっても、企業にとっても、社会にとっても有益であり、メリットが大きいとする仮説論証をしていく科目です。欧米では、家事や育児は女性でなければならないという世界からはすでに脱しています。しかし、日本はまだまだそうなっていません。男性の中にそうしたい気持はあっても、欧米に比べて労働時間が長くてできない現実もあります。日本的な経営の根柢から見直し、ダイバーシティ経営(多様性を活力にした経営)へ歩を踏み出す時代にあります。

――パートナーの山極清子さんは資生堂の人事課長もされ、男女共同参画を推進されてきた方です。先生にとっても「現代企業論」の研究を進めるうえでは欠かせない協力者では。

 それは言えます。私は、自分の妻を「嫁」とか「家内」「奥さん」と呼ぶのにはなじまず、妻の話をする時は「パートナー」という呼び方をしています。資生堂で40年近く、本社初の女性人事課長、経営改革室次長などに就きました。女には教育はいらないとする時代、働きながら子育てをしながら10年がかりで日本女子大学の通信課程を卒業し、管理職に就いていながら大学院を修了し、5年余りをかけて、この3月に論文で博士号も取った頑張り屋です。現在は女性の活躍を支援する会社(東京)の社長執行役員で、都内の私立大学の客員教授も務めています。机上の勉強では知ることができない多くの点をパートナーの体験を通して学んできました。

――巨人ファンだとうかがいました。

 生まれ育った長野県ではテレビが巨人戦中心の日本テレビ系列しか映らないことがあり、時はジャイアンツV9時代でしたので、子どものころから巨人ファンにならざるを得ない。ON(王、長嶋)の活躍に元気をもらい、励まされ続けてきた世代です。もちろんドラゴンズファンの多い名古屋で仕事をするようになってからは礼儀をわきまえて立ち振る舞いをしていますよ。それでも”巨人ファン”のひとり。それにしても今年のセリーグは「0強6弱」状態。プロ野球に「喝」、後半戦を経て「あっぱれ」は一体どこの球団につくのでしょうか。目が離せない日々が続きます。

子どものころからの巨人ファンだという山極教授

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