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TOHO
INTERVIEW

2017.02.13

【第37回】卒業してもサッカーに恩返ししたい 一瞬一瞬を大切にしないと4年間はあっと言う間

愛知県サッカー協会(AIFA )2016年優秀選手

吉原知里さん

人間学部人間健康学科4年生

吉原知里(よしはらちさと)

 名古屋市出身。兄がサッカー少年だったこともあり小学4年生からクラブチームの名古屋FCレディースでプレー。名古屋経済大学市邨高校を経て2013年に愛知東邦大学入学。女子サッカー部ではGKとして1年生の時から活躍し4年生ではキャプテン。4月からは名東区の建設会社に勤務します。

 女子サッカー部キャプテンとして愛知東邦大学の3年連続4回目のインカレ出場を牽引した吉原さんがAIFAの2016年優秀選手に選ばれました。学生生活も残りわずか。吉原さんは4年間を振り返りながら、自分らでは果たせなかった夢を後輩部員たちに託しました。

 

――AIFA年間優秀選手としての表彰おめでとうございます。全日本大学女子サッカー選手権大会(インカレ)出場校のキャプテン、GKとして大活躍でした。

ありがとうございます。でも正直びっくりしました。インカレ1回戦の八戸学院大学戦は3-1で勝ちましたが、後半は相手ペースでの試合になってしまいました。自分たちの方がレベルは上だと感じながらも、土壇場で踏ん張り切れなかった。2回戦の大阪体育大学戦は、チームとしてのモチベーションは上がっていましたが0-8で完敗。実力の差、経験値の差、チーム力の差などあらゆる面で大きな壁を感じました。愛知東邦大学も全国から力のある選手たちが集まるチームに成長してきましたが、相手は一回り上でした。新チームはぜひこの現実を直視し、課題を一つひとつ克服し、悔しさを晴らしてほしいと思います。

 

――インカレには2年生の時から3年連続出場ですが、選手として出るのとキャプテンとして出るのとではやはり違いますか。

2年生の時は、1回戦で対戦した大阪国際大学のレベルの高さも気にしないで試合に出させてもらい、0-4で敗退しました。インカレそのものがどんなものか分かっていなかったと思います。3年生では1回戦は突破できたものの、2回戦ではやはり全国レベルの壁を超えられなかった。キャプテンとして臨んだ4年生ではサッカーの重さを痛感しました。選手として見てきた歴代キャプテンたちが、チームを引っ張っていくためにどれだけ大変な思いをしたことかと思い知りました。試合に出られる部員、出られない部員もいるなかでチーム全体をまとめ上げていかなければならない。同じ4年生たちに助けてもらいながらやっと1年間乗り切れたと思います。

 

――愛知県女子サッカー選手権大会3連覇と皇后杯大会への切符がかかった9月の聖カピタニオ高校戦ではPK戦で10―11で敗れました。GKでしたから重圧も相当大きかったのでは。

あの時が一番落ち込みました。落ち込んだというより、気持ちが病みました。自分が2年生の時に初めて優勝し、翌年も優勝して挑んだ3連覇でしたが、積み上げてきたものを自分の代で壊してしまった。しかも自分はキャプテン、GKとして試合に出ていて。もう、後輩たちに「4連覇頑張ってね」とも言えない。また振り出しにもどって積み上げなければならない環境をつくってしまった。1週間もしないでインカレ予選が始まるというのに、立ち直れるきっかけがつかめないほど沈み込みました。

 

――どうして立ち直れたのですか。

最初は全く切り替えられなくて、円陣を組んでも頭をよぎるのは敗れた時のことだけ。あれだけ練習したのにこの結果。仲間の部員たちが一生懸命盛り上げようとしているのを見ていると余計苦しくなりました。キャプテンとしてチームを引っ張るどころか、自分が空気を壊していました。そして(大勝志津穂)監督と初めてぶつかりました。喧嘩ではないですが、思い切り言い合ったのです。カッチャン(大勝監督)も、私に対して、どうにかしなければと思っていたのでしょう。言い合ったことで、監督が思っていたことも初めて聞くことができました。「もうやりたくない」と言う私に、「キャプテンがいなければ出来ないよ」と言ってくれました。自分の存在を、それだけ大きなものだと思ってくれていたんだ。私もたまっていたことを吐き出してすっきりしたことで、気持ちを切り替えることができました。

 

――間もなく卒業。社会人生活がスタートしますが、これからサッカーとはどう向き合うのですか。

インカレが終わった時点でもうサッカーはやめようと思っていました。就職先も名東区内にある建設会社に決まっています。しかし、時間が経つにつれてサッカーから離れるのが寂しくなってきました。2月4日に行われたOGたちも集まった女子サッカー部の「初蹴り」に参加してからは益々その思いが募っています。サッカーから完全に離れるのではなく、自分ができる方法で自分を育ててくれたサッカーに恩返しできないかと。愛知東邦大学は新シーズンも、東海リーグと愛知県リーグで戦いますが、2つのリーグ戦に臨むにはGKが足りません。勤務と両立できるならOGとして県リーグチーム参加も考えています。インカレ東海第1代表の静岡産業大学では学生部員とOGたちが一緒のチーム「ボニータ」で「なでしこ」のチャレンジリーグに挑むなど層の厚さを見せつけています。愛知東邦大学も「壁」を乗り越えるために、OGとして出来ることはないかと考えています。

 

――卒業を迎えるにあたっての後輩の皆さんにエールをお願いします。

大学が部活動を応援してくれる環境が大きな励みになりました。学生生活の4年間はあっという間です。部活、授業の両立のほかバイトでも頑張らないといけない学生もたくさんいます。私も部活がオフの月曜日や水曜日の午後10時から、部員の友人と2人で名東区内の温泉施設で清掃のバイトを続けました。土、日曜日も練習後の午後7時から午前1時半まで働き、朝は授業に出るという体験もしました。一瞬一瞬を思い切りやらないと時間がもったいないと思いながら頑張り通すことができました。遊ぶ時は思い切り遊ぶ。めりはりをつけて、悔いのない学生生活を送ってほしいと思います。

「愛知県選手権大会3連覇を阻まれた時は一番落ち込みました」と語る吉原さん

たすきをデザインした新ユニフォームでのインカレ初勝利(12月24日、八戸学院大戦)

AIFA表彰式に付き添った小学校時代からの親友でもあるチームメイトの磯貝真未さんと

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