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TOHO
INTERVIEW

2017.03.25

【第38回】学び続ける高校教師めざして大学院へ 節目節目で助けられた野球に感謝

硬式野球部学生コーチ

波戸謙太さん

人間学部人間健康学科4年生

波戸謙太(はと・けんた)

 愛知県岡崎市生まれ。小学3年生から野球を始め、県立西尾東高校時代は内野手。3年生夏の甲子園愛知大会ではベスト4まで勝ち進むも東邦高校に決勝進出を阻まれました。愛知東邦大学硬式野球部では3年生から学生コーチ。4月からは筑波大学大学院人間総合科学研究科に進学。体育学専攻野球コーチング研究室で野球の科学的な分析に挑みます。

 2016年度卒業証書授与式で、学業や正課外活動において優秀な功績があったとして人間学部の波戸謙太さんら3人が学長表彰されました。波戸さんは、4年間、硬式野球部で選手、学生コーチとして活躍しました。「学び続ける」という目標を自らに課し、筑波大学大学院修士課程に進学、高校教員としての野球指導者の道をめざすという波戸さんに聞きました。

 

 ――大学院進学を決めたのはいつごろですか。

 3年生の11月です。母校である西尾東高校時代に、野球部監督として指導していただいた寺澤康明先生のような優れた野球指導者でもある高校教員になりたかったからです。母校では中日の岩瀬仁紀投手の1学年下でもあった寺澤先生は、監督時代は、選手一人ひとりの性格に合わせた練習メニューや采配で、僕らを愛知大会ベスト4まで導いてくれました。愛知東邦大学でゼミ指導していただいた木野村嘉則先生(体育学)には、「大学院進学を決めるのが3年生11月では遅い」と言われていました。ただ、4年生の5月から岡崎市の中学校で教育実習をしましたが、担当してくださった筑波大学出身の先生の授業レベルがすごく高く、やはり、これくらいのレベルの授業ができなければ子どもたちのためにならない。だからこそあと2年間勉強しなければとも改めて思いました。

 

――どうして筑波大学大学院だったのですか。

 野球を科学的に分析することに関して、日本では先駆者である川村卓先生(筑波大学大学院体育系准教授)のもとで勉強しようと思いました。大学院レベルで野球を専門に研究できるのも筑波だけで、大学院に行くなら筑波だと決めていました。筑波なら、これまで野球に打ち込むことで自分が得てきたことを生かせると思いました。

 

――どんな入試勉強をしたのですか。

 推薦入試でしたので、合否は、大学院に入ったらどんな研究をしたいのかという研究計画書を提出したうえで、学部時代の成績と面接で決まります。幸い木野村先生が筑波大学大学院の中でも指導がとりわけ厳しいと言われる研究室の出身でもあったので、研究計画書の作成では本当に厳しく添削していただくなど指導していただきました。学会やセミナーにも時間があれば出かけていました。同じ人間学部で、野球に関しては先輩でもある木下達生さんは、ゼミは違いましたが日本野球科学研究会ではずっと一緒でした。プロ野球選手の経験もある木下さんはさすがに顔が広く、いろんな大学の先生を紹介してもらうなど、とても心強い存在でした。

 

――研究計画書はどんなテーマで書いたのですか。

「無死一塁時の送りバントの有効性―高校・大学の地方大会および全国大会に着目して―」です。高校、大学野球でこのテーマに着目している研究がなかったので、ここを突いてみようと思いました。7月初旬にあった入試では8人の面接官を前に、5分で説明するよう求められました。説明自体はそれなりにできたと思うのですが、面接官たちからの質問は変化球の連続でした。「そうした研究ではどうした統計処理をかけて分析するのですか」とか、「教員になりたいというけれど、どんな授業をしたいのですか」とか予想外の質問が相次ぎました。でも、「どんな授業をしたいか」と聞かれた時は、教職の勉強や教育実習にはしっかり取り組んでいたので大助かりでした。

 

――愛知東邦大学から大学院進学は多くはなく、国立大学は初めてだと思います。先例がないだけに大変だったのでは。

 高校時代の同級生で、公務員試験をめざしている野球部仲間たちと、よく集まって一緒に勉強しました。榊直樹学長からは、大学院に向けての準備とか、4年間を振り返って自分を採点した何点くらいかと聞かれ、20点ですと答えました。学会や研究会に出ては、自分より上のレベルの人たちばかりだと思っていましたし、筑波大学大学院は100人の定員で推薦入試枠が30人。一般入試で入ってくる同期入学生たちと対等にやっていけるかどうか不安もありました。でも、「学び続ける」を自分のテーマに掲げて頑張ります。

 

――野球とは長い付き合いになりますね。

自分の生活の一部になっている感じです。22年しか生きていませんが、節目、節目で野球に助けられてきたような気がします。愛知東邦大学の入学した時も、野球を続けるかどうか迷いましたが、高校時代の寺澤先生から「お前は野球をやらなきゃあいかん」と背中を押していただきました。それで野球を続けた結果、大学院進学という新しい道が開けました。野球に助けられたなとも思っています。筑波大学野球部は首都大学野球リーグの1部に所属していますが、監督である川村先生のもとで僕も学生コーチを務めさせていただくことになっています。

 

――卒業するにあたって後輩である学生たちへのメッセージをお願いします。

 3年生夏のオープンキャンパスの時、木野村先生の模擬授業で、元陸上競技選手でタレントの武井壮さんの動画が紹介されました。武井さんの話は、大学での4年間は自由な時間は多いけれど、自分から学ぼうという学生は少ない。大学にはいろんな分野で認められた先生たちがたくさんいて、お金では買えないような宝石箱からいろんなものをみんなに与えているのに、自ら放棄している学生が多すぎるという内容でした。僕の大学生活で一番身にしみた言葉でした。就職活動でも、何もない状態で、いくら「私は御社に入りたい」と言っても、面接担当者は、大学生活でいかに本気で勉強してきたか、どれくらい身についているかはすぐ見抜きます。4年間、学び続ける、吸収し続ける姿勢が大切だと思います。

「学び続けることを自分のテーマにして頑張りたい」と語る波戸さん

筑波大学でも学生コーチとして野球との付き合いが続きます

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