東邦高校同窓会である東邦会主催の学園創立95周年記念総会が5月19日、ホテル名古屋ガーデンパレスで開催されました。100周年も近いとあって約350人の卒業生たちが参加し大きな盛り上がりを見せました。約4万5000人の会員を擁する東邦会の高山仁惣会長に5年後に迫った学園100周年について語ってもらいました。
――95周年記念総会は世代を超えた約350人が参加し盛況でした。
総会は5年ごとに開かれますがこれほどの参加者が集まったことは最近ではなかったと思います。東邦会では数年前から次代に対応できる組織変革に取り組み、若手卒業生の意見が反映でき実効性のある委員会組織に生まれ変わりました。
今回の総会では企画委員会が1年をかけて立案し、役員会の承認を得て400人の参加目標を掲げてきました。目標には届かなかったものの、会場の各テーブルでは、世代を超えた参加者たちの交流の輪ができるなど中身の濃い総会、懇親会になりました。幹事の皆さんに頑張っていただいた成果だと思っています。ただ、誰でもが参加できる総会であることを考えれば、4万5000人の会員中の350人ですからまだまだ少ない人数です。
――参加者申し込み者の中には旧制東邦商業学校卒業生7人の名前もありました。
東邦会の2018年4月現在の会員数は約4万5000人ですが、これは各年度の卒業生数の足し算であり、物故者を差し引いた実数は当然少なくなります。総会参加を呼びかける案内状を送ったのは約2万8000人でした。商業学校最後の卒業生である21回生の方でも80歳代後半です。時代とともに上下の関係が希薄になる中だからこそ、同窓会での交流は人間関係や人脈創りで果たす役割が大きいと思います。総会3日前の5月16日には、元会長の稲垣鍵一さん(商業15回生)が93歳で亡くなられました。稲垣さんの会長時代(1986~1999)に、私は幹事としていろいろお手伝いをさせていただきましたが、本当に多くのことを教えていただきました。亡くなるほんの少し前にも、「昔の東邦会の貴重な資料が出てきたので取りに来い」という電話があり、お伺いして2時間ほど話し込んできたばかりでした。大先輩たちの訃報は本当に寂しい限りです。
――若い卒業生たちに東邦会会員であるという自覚はどれくらい浸透していると思いますか。
残念ながらかなり薄いでしょう。東邦会の存在すら知らない若い卒業生たちがたくさんいます。保護者が入会金を払っていることもあり、本人の自覚は薄い。卒業式に合わせて東邦会入会式を行っていますがあまり印象に残らないようです。在校中は学校や先生方が生徒を支えていますが、卒業後に支援をしていくのが東邦会です。私も会長に就任以来、在校生の皆さんに、いろんな場でお話をさせてもらっていますが、まだまだ努力と工夫が必要だと痛感しています。社会に飛び出して、まだ自分のことで精一杯という若い皆さんも多いと思いますが、それ以前の問題として、いつでも東邦会が守ってくれている、その東邦会会員であるという自覚を持ってもらう〝掘り起こし〟が東邦会執行部の責務だと思っています。
――東邦会会員の絆を深め、さらに輪を広げていくツールも必要では。
そうです。以前は住所や勤務先も盛り込んだ「会員名簿」を発行していて、先輩や後輩たちの消息を知る有力なツールとなっていましたが、個人情報の保護ということで今は発行されていません。会報として『東邦の和』を年1回発行し郵送していますが、郵送費の負担を考えると発行回数を増やすのは難しい。東邦会のホームページもありますが、モバイル情報発信が多い最近の若者たちにはパソコンを開かない傾向も強まっています。一方ではインターネットとは縁遠い年輩会員もいるわけです。時代が変わっていくなかで、いくつかのツールをうまく使いこなして切れ間のない絆を織り成すことが大切だと思います。
――東邦学園でも法人組織として「新たな百年」事務局が発足し100周年に向けて動き出そうとしています。
愛知東邦大学の開学は2001年で17年前ですが、前身である東邦学園短期大学が開学したのは53年前。東邦学園としてのルーツは同じで、同じ建学の精神「真面目」を掲げる学園です。当然、ともに100周年をお祝いするテーブルにつくべきだと思っています。東邦会としては、これまでも、「100周年に向けてぜひ歩調を合わせた事業に取り組みましょう」と声をかけてきました。「新たな百年」事務局が発足したことで、これから100 周年に向けた具体案も出てくるものと期待しています。
――東邦学園ホームページでは学園史の新たな発掘もめざし、「語り継ぐ東邦学園史」という企画を連載中です。
東邦会でも、5年前の90周年記念総会の時、学園の建学の精神にまつわる話とか、男女共学など大きな流れを物語風にして、俳優の江守徹さんや文学座団員による朗読劇を企画しました。美術科卒業生3人の絵画作品もコラボし、東邦学園の歴史を体感できる企画として好評でした。100周年を迎えるにあたり、学園の歴史を絶やさないこと、過去を振り返りながら将来に向けてどのような学園のイメージをつくり込んでいくか。それが大事なことだと思います。
東邦学園ウェブサイトの「語り継ぐ東邦学園史」もご覧ください。