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TOHO
INTERVIEW

2019.06.27

【第56回】世界で戦うレーサーになりたい 海外遠征で国際ビジネスにも興味

F4参戦の学生レーサー

平良 響さん

経営学部国際ビジネス学科1年生

平良響(たいら・ひびき)

 沖縄県沖縄市生まれ。幼稚園の時、父親にカート場に連れていってもらったのがきっかけでレーシングカートの世界に。中3でポルトガル、高1でイタリアなど世界大会も体験。県立コザ高校から愛知東邦大学に入学した2019年4月からはフォーミュラ4(F4)レースに参戦中。音楽好き一家で、「響」はベース奏者である16歳上の兄が命名。

 愛知東邦大学で学びながらモータースポーツの花形とも言われるフォーミュラカーレース(F4)への参戦を続けている学生レーサーがいます。経営学部国際ビジネス学科1年生の平良響さんです。平良さんは沖縄県出身。郷土紙「琉球新報」は6月21日紙面で「沖縄モータースポーツ界の第一人者」として、世界をめざす平良さんにエールを送っています。

――レーサーになった経緯を教えてください。

 沖縄市で電気工事や空調関係の会社を経営している父親に、幼稚園の時、読谷村にある小さなカート場に連れていってもらったのがきっかけです。一人では乗れないので父親の隣に乗せてもらったのですが、父親もはまってしまったのかカート場通いが始まりました。小学校に入ってからも父親と一緒にサーキット場通いが続きました。小学3年生の時、三重県桑名市で開かれたカートレースの全国大会に出場しました。沖縄県外の大きなレースへの参加は初めてでしたが、40台近くが出場する中で28位でした。

――小学生の時からずっと国内外のレースに出場していますね。

 はい。国内では岐阜県の瑞浪市、三重県の鈴鹿市でのレースへの遠征もありました。中3でポルトガル、台湾、マカオ、高1でイタリア、高2で再び台湾、高3でマレーシアと世界大会にも出場を続けました。世界各国の同世代ドライバーたちや家族たちとの交流を通じて、意識やモチベーションを高めることができました。サッカーも好きだったので、小学校から高校までサッカー部員でもありましたが、そんな状態ですから、幽霊部員ですね。

――国内外遠征の費用は自己負担ですか。

 ある程度は主催者が出してくれますが、レースに同行して車を整備してくれるメカニックさんのホテル代とか食事代は自己負担です。スポンサーさんにお願いしたりしますが、やはり父親の負担は大きいです。レースに付き添ってくる他の皆さんと比べたら、うちは超ビンボウでした。

――世界自動車連盟(FIA)の入門カテゴリー、新人登竜門とも言われるF4選手権ですがF4レースへの挑戦はいつからですか。

 愛知東邦大学に入学した今年からです。昨年8月にトヨタのレーシングスクールでのテストに合格してトヨタから支援を受けてF4に参戦する権利を得ました。フォーミュラーカーはカートに比べて重量もあります。エンジンもカートが125㏄なのに対し約2000㏄、このため、最高速度もカートの約130キロに対し230キロにも達します。F4車両は長さ4340ミリ、高さ950ミリ。サーキットは広いのでそんなに恐怖心はありませんが、100キロのスピードで横並びになるとさすがに怖い。ぶつかるとハンドルを取られてしまいます。ヘルメットや耐火素材のレース服は命綱です。

――カーレースの最高峰はF1レースと言われていますが、F4からF3、F2と段階的に上がっていくわけですか。

 F4からF3に上がるのはかなり大変です。カートからF4に上がる比ではありません。F4からF3に上がるには年間14戦に参戦して年間王者になるのが条件です。これまで6戦に出走しましたが、30台以上が参戦した中、全て入賞(10位以内)。合計ポイントは現在6位です。レースは11月まで続きますがまだ十分チャンスはあります。

――授業もありますから、忙しいですね。

 時間割も詰まっていますから本当に忙しいです。大学から徒歩10分ほどの所に住んでいますが、トレーニングは近くのジムに通っています。ドライバーにかかる首と上半身への負担は大変なものです。ヘルメットは重さが2キロもあり、走行中は自分の体重の倍くらいの重力がかかるからです。コーナーを回る時など首が折れそうになるほどで、支えられるよう鍛えていなければなりません。レースが近づくとトヨタの人から練習の日程を連絡いただいて指定されたコースに出かけます。

――レース場を走るのと道路を走るのでは運転は違いますか。

 全く違います。アクセル、ブレーキ、ハンドルは一緒ですが、レース場では、運転技術の高いレーサーたちが同じ方向に走っているので恐怖心は全くありません。しかし、公道では対向車は来るし歩行者もいる。いきなり子供やお年寄りが飛び出してくる心配もありますからびくびくです。今、高齢ドライバーが問題になっていますが、レーサーでも30歳、40歳になると目が追い付いていかないので不安が高まります。80歳とかでの運転は本当に危ないと思います。

――これからの目標は。

 「世界で戦うレーサー」になることです。それと留学。レースの合間なので、短期にはなると思いますが、国際ビジネスの現場を学べる留学にあこがれています。レースで世界の国々を訪れてきましたが、マレーシアはこれが国際分業かと思うほど海外からのビジネスマンであふれていました。レーサーに付き添ってくる親たちの中には社長さんたちが多く、いろんなことを教えてもらいました。愛知東邦大学を選んだ理由は、海外レースへの参戦を続けるには英語力を磨く必要があったからです。レースを通して知り合った元愛知東邦大生の先輩から紹介してもらったのがこの国際ビジネス学科でした。英語の授業数が多く、オールイングリッシュの先生のもとで耳も英語に慣れてきました。英語が身に着けられ、国際ビジネスについて学べる大学に来られて本当に良かったと思っています。

「支えてもらっている家族に感謝です」と語る平良さん

平良さんのF4参戦を報じる「琉球新報」(6月21日)

「幼稚園の時、読谷村で父親と一緒にカートに乗ったのが最初でした」

「英語の授業が多い大学生活は充実しています」

「沖縄そばは大好き。名古屋に来てきしめんも好きになりました」

「父と姉は三線、兄はベース。僕もピアノ、ドラムをやってきました」

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