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TOHO
INTERVIEW

2019.05.28

【第55回】初仕事となった甲子園応援での東邦優勝に感激 高大連携で絆の循環を加速させたい

東邦高校初の女性校長

藤本紀子校長

藤本紀子(ふじもと・のりこ)

 名古屋市生まれ。明和高校、愛知県立大学文学部国文学科(現在は日本文化学科)卒。1981年に奉職。2010年度から9年間教頭を歴任し、2019年4月から校長、東邦学園理事。中学、高校時代に吹奏楽部員だったこともあり東邦高校でも顧問歴は10年余。文学少女時代は太宰治などに夢中になり、「痛快さが大好き」という佐藤愛子の本はほぼ全作品を読破。

 

 旧制東邦商業学校時代から数えると96年の歴史を刻む東邦高校に初の女性校長が誕生しました。藤本紀子校長です。東邦高校は1980年に男女共学に踏み切りましたが、藤本校長はその翌年に国語教員として着任しました。東邦学園は100周年に向かう節目の時期。高校の舵取りを担う藤本校長に就任2か月の感想も含めた決意を語っていただきました。

 

――新校長に就任されて2か月。感想をお聞かせください。

 昨年度までは職員室で、生徒や先生方と接しながらずっと過ごしてきました。校長就任とともに職場はたった一人の校長室になりました。一人でする仕事が多く、代わりにやってもらうことができない仕事なのだということも実感しています。嬉しかったのは何と言っても、初仕事が甲子園での応援だったことです。3月31日の3回戦(筑陽学園戦)から応援に行きましたがわくわくしながらの初仕事でした。東邦高校では、校長が変わると甲子園に出場するというジンクスがあると聞いていましたが、その通りになり、何と優勝までできました。これ以上のことはまずないというスタートになりました。

 優勝を通して、東邦高校が愛知県の皆さんを始め、いかに多くの方々に愛されていることかと実感しました。校長という職につかなければここまでひしひしとは分からなかったと思います。2か月で素晴らしい経験をさせていただきました。

 

――歴代校長を調べてみたら17代目の校長になりますね。

 そうですか。何代目かは全く意識しませんでした。他校を伺うと、校長室に歴代校長の写真が飾ってあったりしますが、東邦高校の校長室にはそうしたものは全くありません。それはそれで東邦高校の個性であると思っていますし、私も第何代であるかというのは考えたこともありませんでした。

 

――東邦高校の2019年度入学者は608人。2年連続で600人を越えました。OBの方からは子供や孫を東邦の入れたくてもハードルが上がってしまったという話も聞きます。 

 そういうことを言われることもありますが、推薦基準とかはここ数年、大きく変えてはいません。ただ、推薦入試での志願者数が増えて、その分一般入試が厳しくなっていることが、ハードルが高くなったという印象につながっているのかも知れません。

入学者が増えた分、2年連続で16クラス編成となりました。校長室のある普通教室棟の教室数は2階から5階までに45クラス分。現在は1、2年生が各16クラス、3年生が15クラスの計47クラス。2クラスが普通教室棟に入りきらず、特別教室棟に入っています。生徒たちにはちょっと過ごしにくさがあると思います。理想は各学年15クラス編成です。現在、1年生普通科はどのコースも1クラス40人くらいで、2、3年生に比べ多目です。

 

――5月18日に開催された東邦会総会でのあいさつで、これからは教員には、学びの支援者として、生徒が主体的に考えて課題を見つけ、解決する経験をさせることが求められると述べられました。

 東邦高校ではその取り組みの一環として、2012年から1年生で「クエストエデュケーションプログラム」という課題解決型授業を総合学習の中に取り入れています。教室の生徒たちが、実在する企業の「インターンシップ生」となり、企業側が求める課題解決に取り組むプログラムです。全国で2万人を超す中高生が参加しており、各企業から10チームが全国大会に出場できますが、本校は初年度から7年連続出場の快挙を果たしており、企業賞の受賞歴もあります。全国的に参加生徒が増えており、全国大会出場ハードルが年々上がっています。

こうしたプログラムでの授業だけでなく、生徒たちが主体的に考え、課題を解決していく経験を積むためにもICT環境の整備は重要です。生徒たちがそれぞれ端末を持って、調べたいことを調べたい時に調べられる。グループで課題テーマを調べる時にも、そういうものがあれば、いろんな角度から調べられます。学習用のアプリケーションも今は結構あり、使えるものを応用して使うことで、学習の幅が広がるのではないかと思います。

 

――2020年度から普通科に「国際探究コース」がスタートします。

 国際的な視野を持って、世界を舞台に活躍できる、そういう志を高くもった人材の基礎がつくられればいいなと期待しています。東邦高校では国際交流はずっと盛んで、今年からは4か国5校(中国の南京外国語学校、ニュージーランドのシャーリーボーイズハイスクール、マリアンカレッジ、オーストラリアのサレジアンカレッジサンベリー、東邦高校)での姉妹校交流会も東邦高校で隔年に開催することになりました。

 今年はごみ問題がテーマでした。本校はユネスコスクールでもありますので、姉妹校交流もESD (Education for Sustainble Development=持続発展教育)の観点から推進しようということで、参加校がそれぞれ自国のごみ問題について発表をして、自分たちの国に持ち帰り、どんなことができるか、全員でアクションプランを考えて閉会しました。意義深い交流うだったと思います。

「国際探究コース」はこうした国際交流で取り組んできた実践も踏まえ、より具体的に、より深く、広く取り組んでいきたいと思っています。これからの社会は、日本にいても外国の方と一緒に仕事をしなければならないなど、グローバルな視点が重要だと思います。

――東邦学園は4年後に100周年を迎えます。東邦高校と愛知東邦大学の高大連携について考えていることはありますか。

 最近、本校から愛知東邦大学に進んだ生徒たちが非常に頑張っているという報告をいただいており、本当にうれしいなと思います。本校出身の生徒たちが、愛知東邦大学を今以上に活性化させて、その姿を見た本校生徒たちがさらに、行きたいなと思ってもらえるような循環がますます加速していくとうれしいと思います。

高大連携のコア会議には4年ほど出させていただいておりまして、高大の先生方の努力で、ずいぶん連携が深まり、絆が強くなってきているなと思います。絆をさらに強めるために、教職員同士が互いの顔を見て話をするようなつながりが大事だと思います。高校では、教員たちが心理学とか教育学についてまだまだ勉強しなければならない部分もあるのではないかと思っています。大学には専門の先生がいらっしゃるので、最新の研究ですとか、教育を取り巻く環境について教えていただける機会がもっと持てればなあということは考えております。

校長としての初仕事となった甲子園応援(4月3日の決勝戦)

凱旋した硬式野球部員たちの健闘をたたえる(4月4日)

「高校と大学の連携で絆の循環を加速させたい」

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