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語り継ぐ東邦学園史
歴史を紐解くトピックス

第93回

キャプテンたちの葛藤 (上)

2013

更新⽇:2021年2月15日

濃く充実した時間

岐阜国体の愛知県選手団に選ばれた寺田さん(右)と田中さん(左)

2007年度に創部された女子サッカー部では2020年度まで11人のキャプテンがチームを牽引しました。インカレ(全日本大学女子サッカー選手権大会)初出場後、2013年度以降の歩みを、元キャプテンたちから寄せていただいたメールを中心に追いました。

 

【卒業年度ごとの歴代キャプテンと出身高校。姓は現役時代】

2010年度 横田理央(人間) 愛知・武豊

2011年度 加藤優(人間) 聖カピタニオ女子

2012年度 木村麻希(人間) 東邦

2013年度 寺田真有(人間)大阪桐蔭

2014年度 田中菜月(人間) 名古屋経済大市邨

2015年度 仲里紗弥(人間) 沖縄・名護

2016年度 吉原知里(人間) 名古屋経済大市邨

2017年度 中村陽(人間) 日ノ本学園

2018年度 大城穂香(人間) 沖縄・浦添

2019年度 早川このみ(人間) 帝京大長岡

2020年度 田中梨華(教育) 大阪桐蔭

 

2012年度の第21回インカレに初出場を果たした翌年2013年度キャプテンは寺田真有さんです。寺田さんは第21回インカレには3年生で出場しました。2回戦では吉備国際大に0―8で大敗した時は力の差を見せつけられたそうです。

<相手は昔一緒にプレーしていた仲間がたくさん在籍しており強豪チームでした。ただ、私たちには失うものはないのでチャレンジ精神をもって戦おうと話をしていました。チームの雰囲気もとても良かったので、本当に勝ちにいきましたがレベルの差を突きつけられてしまいました>

2013年度の第22回インカレ予選で愛知東邦大は4位に終わり連続出場はなりませんでした。寺田さんは「キャプテンとして何をするべきなのか、どうすればチームを引っ張っていけるのか、悩む時間はとても多かった」と言います。

<監督も含め、学年関係なく本当にたくさん意見交換をすることで私自身も前を向き続けることができ、チーム全体としても良い雰囲気で目標に向かうことができたと思っています。前年の成績を上回れるよう努力しましたが残念ながらインカレ出場を逃してしまいました。しかし、大学サッカーでは、今までのサッカー人生の中では学べなかった、たくさんのことを学び、かけがえのない仲間ができ、貴重な経験をさせていただくことができました。濃く、とても充実した時間でした>

いつだって「笑顔」と「感謝」

愛知県選手権大会優勝で笑顔の田中さん(表彰状)と吉原さん(盾)

2014年度から現在の米澤好騎監督がコーチとして加わり、長谷川望監督を作戦面で支えました。田中菜月さんがキャプテンを務めたチームは、掲げた3目標「愛知県選手権優勝、東海リーグ1部昇格、インカレ出場」を全て実現させました。とりわけ第23回インカレへは2年ぶり出場を果たし、前年の悔しさを晴らしました。田中さんは「沖縄からの学生も多く、とてもにぎやかな陽気なチームでした」と振り返ります。

<皇后杯予選につながる愛知県選手権で名古屋FC(現ラブリッジ)を1-0で倒し優勝できたことはすごく嬉しかったですし、その勢いで前年果たせなかったインカレ本選にも出場することができました。ただ皇后杯予選では敗れ、インカレ本戦でも1回戦で大阪国際大に0―4で敗退するなど新たな課題が見つかる年でもありました>

田中さんによると、女子サッカー部ではこの年から応援歌が一気に増え、振り付けも加わり、太鼓とともに大声で応援するスタイルが定着しました。他チームからも、「東邦の応援はすごい」と言われるほどでした。田中さんは、「支え合いのできるチーム力の強さが発揮された年だったと思っています」とも言います。

田中さんは「東邦キャンパス」121号(2015年1月27日)にも「いつだって『笑顔』と『感謝』!!」のタイトルで、「感謝の気持ちを忘れず笑顔あふれる女子サッカー部として今後も活動していきます」と報告していました。

 

中学生の神谷選手も部員に

2015年7月の 東海リーグ。後列左から3人目が神谷さん

2014年度からの2年間、女子サッカー部には中学生選手も加わっていました。聖カピタニオ女子高校を経て2019年に愛知東邦大学に入学し、U-20日本女子代表候補にも選ばれたた神谷千菜(ちいな)さんです。兄の神谷拓也さん(2015年経営学部卒)が東邦高校、愛知東邦大学時代にサッカー部員だったのが縁でした。

3年生だった仲里紗弥さん(2015年度キャプテン)は、「練習生として加わっていた神谷千菜が、その後日本代表候補になったと聞いて、自分のことのように嬉しかったです」と懐かしそうでした。

神谷さんは中学生時代から、愛知東邦大の頼れる戦力とし活躍しました。大学生ではないのでインカレ予選には出られませんでしたが、仲里さんがキャプテンだった2015年愛知県選手権大会決勝戦の対聖カピタニオ女子高校戦に中3だった神谷さんが途中出場。同点ゴールを決めて愛知東邦大の2連覇に貢献しました。しかし、神谷さんは進学した聖カピタニオ女子高校の主力選手となりました。2016年の愛知県選手権大会決勝戦ではキャプテンの吉原知里さんがGKの愛知東邦大を、神谷さんが出場した聖カピがPK戦で破り連覇を阻みました。

2014年夏には、10人の沖縄県出身者に中心29人の選手が参加して沖縄遠征も行われました。2014年8月24日「琉球新報」に「初の沖縄遠征 交流も 愛知東邦大学女子サッカー部」という記事が掲載されました。(抜粋)

<県出身選手10人が所属する愛知東邦大学(名古屋市名東区)の女子サッカー部が19日から初の沖縄遠征に取り組んだ。同大女子サッカー部は現在、東海2部リーグトップで、強豪チームの中核を県出身選手が担っている。女子サッカーの裾野を県内で広げようとの目的で、遠征期間中、県内高校女子サッカーチームなどとの交流試合に臨んだ。選手らは女子サッカーの県内での隆盛に期待を懸ける。

愛知東邦大学女子サッカー部は所属選手31人で、3分の1を県出身選手が占める。今回の遠征には29人の選手が参加した。19日に読谷村内の子どもたちとのサッカー交流をはじめ、名護、小禄、美里の各高校と交流試合をした。また琉球デイゴスやヴィクサーレとの練習試合に臨んだ。

琉球デイゴスへの入団が決まった稲国彩芽さん(4年生)は、那覇市泊出身。サッカーに取り組む兄弟に触発されて高校から始めた。2013、14年と国体選手にもなった我部志季さん(2年生)は、南城市大里の出身。父や兄弟がサッカーをやっていたこともあり、小学生から始めた。将来的には「県内の女子サッカー選手になりたい」と目標を据える>

愛知東邦大学では女子サッカー部の沖縄遠征のほか、硬式野球部が読谷村でキャンプを実施してたこともあり読谷村と包括連携協定を結び、2016年8月4日、榊直樹学長が読谷村役場を訪れ協定書調印式に臨みました。

 

W杯決勝戦のなでしこ応援でPVを開催

完成翌年のLCホールで開催されたPV(2015年7月6日)

女子サッカー部は2015年7月6日、前年12月にオープンしたばかりのLCホールで、パブリックビューイング(PV)を開催しました。女子サッカーワールドカップカナダ大会決勝戦で、アメリカと対戦する日本代表(なでしこジャパン)を応援するためです。テレビ中継スクリーンに映し出された決勝戦は午前8時キックオフでしたが、新聞社4社(朝日、毎日、読売、中日)とテレビ局4社(NHK、CBC、東海、中京)が訪れ、応援の様子を追いました。

沖縄出身部員からは指笛も飛び出す熱い応援が続きました。ハーフタイムでは部員たちがボードを使い試合を分析し、テレビカメラが追いました。惜しくもなでしこジャパンは2―5でアメリカに敗退。試合終了後、会場のあちこちで部員たちに報道各社が感想を求めました。キャプテンの仲里紗弥さんは「たて続けに4失点を許したにもかかわらず、あきらめず全員で戦い続けたなでしこに感動しました。技術だけでなく最後まで頑張ることが自分たちにも必要だと痛感しました。選手の皆さんは、胸を張って日本に帰ってきてほしいです」と向けられたマイクを前になでしこの健闘をたたえました。

仲里さんは<チームとして自分たちの目指すところを共有し、そのためには何が必要か、そしてチームで戦うとは何か、W杯の決勝からの学び生かしていきたいという思いからPVを企画しました>と振り返ります。

サッカーに携わり続けることの幸せ

PV会場でインタビューを受ける仲里さん

2015年度は監督を大勝志津穂・経営学部准教授が務め、チームは掲げた「インカレ出場、愛知県選手権2連覇、東海リーグ1部残留」の目標はすべて達成しました。

2年連続出場となった第24回インカレでは、1回戦は福岡大学・九州国際大学(九州第1代表)に3―0で快勝しましたが、2回戦では姫路獨協大(関西第2代表)に1―9で完敗しました。仲里さんにとっても、全国上位チームのスピードや、プレーに対する質の違いを見せつけられた学生時代最後の試合でした。

<いまだに、あの試合(姫路獨協大戦)を思い出します。率直に感じたことは全国との差。全国上位チームの一つ一つのプレーの質やスピードを痛感しました。試合が終わった時は、お世話になった監督やコーチとともに戦えたことの思いがあふれていました。最後まで足を止めずに全員で勝ちに行ったことは誇りでした>

仲里さんは卒業後、故郷である沖縄に戻り、小学校の教壇に立ちながらサッカーと関わり続けています。

<卒業後、沖縄県内の中学校の体育非常勤講師として働きました。働きながら、通信教育で小学校免許を取得しました。そして、3年前に採用試験に合格し、今は県内の小学校教員として働いています。その一方で、高校時代のコーチと共に地元でサッカースクールを立ち上げ、スタッフとして小中生や高校生に教えていました。3年前からは社会人チームに在籍し、仕事をしながら大学生や高校生と練習をして、リーグや県大会に出場しています。地元から女子サッカーの楽しさを伝えていけるように活動し続けています。現在もサッカーに携わることができとても幸せです>

法人広報企画課・中村康生

 

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