検 索

寄 付

語り継ぐ東邦学園史
歴史を紐解くトピックス

第94回

キャプテンたちの葛藤 (下)

2016

更新⽇:2021年2月15日

より高みをめざして

愛知県選手権決勝戦でPK戦に敗れ肩を落とす選手たち(2016年)

皇后杯大会東海予選への出場権がかかる愛知県女子サッカー選手権大会。愛知東邦大は2014年度、2015年度に連続優勝し東海予選に進みました。しかし、2016年度は聖カピタニオ女子高校との決勝戦で0-0、PK戦10-11で敗退しました。GK吉原知里さんは2年生で初優勝、3年生で連続優勝を経験していました。4年生ではキャプテンとして3連覇をかけて臨んだ愛知県選手権でした。守護神でもあった吉原さんからのメールにはPK負けの悔しさがにじんでいました。

<先輩たちと作り上げてきた連覇を私たちの代で逃してしまいました。悔しさで言うとこれまでにない経験だったと思います。選手権敗戦からインカレ予選までの期間が1週間しかなく、自分自身、そしてチーム自体を切り替えて立て直し、チーム一丸となりインカレ連続出場までにもっていけたのは今でも印象に残っていますし誇りに思います>

吉原さんは「TOHOインタビュー」(2017年2月掲載の第37回)でもその時の悔しさを語っていました。(抜粋)

<あの時が一番落ち込みました。落ち込んだというより、気持ちが病みました。積み上げてきたものを自分の代で壊してしまった。しかも自分はキャプテン、GKとして試合に出ていて。もう、後輩たちに「4連覇頑張ってね」とも言えない。また振り出しにもどって積み上げなければならない環境をつくってしまった>

立ち直ったのは大勝監督との対話でした。

<仲間の部員たちが一生懸命盛り上げようとしているのを見ていると余計苦しくなりました。キャプテンとしてチームを引っ張るどころか、自分が空気を壊していました。そして大勝監督と初めてぶつかりました。思い切り言い合ったのです。カッチャン(大勝監督)も、私に対して、どうにかしなければと思っていたのでしょう。言い合ったことで、監督が思っていたことも初めて聞くことができました。「もうやりたくない」と言う私に、「キャプテンがいなければ出来ないよ」と言ってくれました。自分の存在を、それだけ大きなものだと思ってくれていたんだ。私もたまっていたことを吐き出してすっきりしたことで、気持ちを切り替えることができました>

2016年度の第25回インカレは、1回戦は八戸学院大学(東北第2代表)に3―1で勝ちましたが、2回戦で大阪体育大学(関西第1代表)に0-8で完敗。またも、ベスト8進出のハードルの高さを思いしらされました。

キャプテンとして愛知東邦大を3年連続4回目のインカレ出場に引っ張った吉原さんはAIFA(愛知県サッカー協会)の2016年優秀選手にも選ばれました。

 

3度目挑戦で果たした皇后杯大会

皇后杯1回戦での勝利(上)と2回戦を前に(左端が中村さん)

愛知東邦大学は2017年度に開催された第39回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会に初出場を果たしました。キャプテン中村陽(みなみ)さん、副キャプテン竹林佑真さん、MF岩田あかりさんたち4年生がチームを引っ張りました。

出場を決めた東海予選は10月7日、岐阜市の長良川球技メドウで行われ、JFAアカデミー福島に1-0で勝利し、3度目の予選挑戦で初の皇后杯大会出場を決めました。岐阜城を見上げるグラウンドで会心のゴールを決めたのは岩田さんでした。

大勝監督は全教職員にメールで、「創部11年目にして初の皇后杯出場を決めることができました。皇后杯大会は日本の女子サッカーチームの頂点を決める大会。この大会の本戦に出られるチームは限られています。新たな挑戦となります」と勝利を報告しました。

榊直樹学長も10月18日、部員たちの父母たちが学内で開いてくれた「初出場を祝い激励する会」で「女子サッカー部の皆さんは愛知東邦大学の歴史を次々に塗り替えてくれています」とたたえました。

第39回皇后杯大会1回戦は10月29日、台風22号の接近に伴う強い雨の中、四日市中央緑地公園陸上競技場で行われました。愛知東邦大は神村学園高等部(鹿児島)に2―2でのPK戦に勝利(4―3)し、皇后杯大会での記念すべき1勝目を刻みました。

1回戦を突破したことで11月4日に、長野県佐久市の佐久総合運動公園陸上競技場で行なわれる2回戦では、なでしこ1部リーグのちふれASエルフェン埼玉と対戦することになりました。学内は、〝ジャイキリ〟(番狂わせを意味するジャイアントキリング)への期待が高まりました。

佐久総合運動公園陸上競技場ポールには、田中菜月さんがキャプテンだった2014年度卒業生たちが贈った「元気全開 Bestpeformance」の応援旗が掲げられました。残念ながらジャイキリは実現せず、愛知東邦大は0-1で敗れましたが、後半89分まで、ちふれに点を与えなかった健闘が光りました。ちふれが放ったシュートは21本。嵐のような猛攻に、愛知東邦大は3年生GK川上日菜乃さんを中心にチーム一丸でしのぎ続けました。大会公式記録によると愛知東邦大のシュートはキャプテン中村さんの1本だけでした。中村さんからのメールです。

<皇后杯大会はチャレンジャーだったので、何も恐れるものなく戦いに挑めました。1回戦では雨の中、応援してくれているBチームのメンバーの事を考えると何が何でも勝ちたい!という気持ちでした。2回戦では何本もシュートを打たれましたが、みんなが体を張って守り切っていました。私たちも最後の最後まで、恐れることなく、岩田あかりの裏から抜け出し、竹林佑真を起点にゴールに向かいました>

皇后杯大会での激闘に続くの第26回インカレでは1回戦で四国大学(四国第1代表)に2―1で勝利しましたが、2回戦では神奈川大学(関東第5代表)に0―2で敗れ、またも初のベスト8進出はなりませんでした。

インフルとも戦った

徳山大戦を戦い終えた大城さん(6番)ら選手たち(2018年)

2018年度は大城穂香キャプテンのもとで第27回インカレに5年連続出場を決めました。しかし、2回戦では5人がインフルエンザに感染し、負傷者も含め7人が試合に出れなくなるという苦境の中でのインカレとなりました。

1回戦は明治国際医療大学(関西第3代表)に2―1で勝利し、2回戦の対戦相手は徳山大学(中国第1代表)でした。12月25日午前11時のキックオフを前に、大城さんらチームは大きな試練に立たされました。主力メンバーで副キャプテンの宮里留依さん(4年)、1回戦で得点をあげた大瀧まゆうさん(2年)ら5人がインフルエンザでダウンし、出場できなくなったのです。

ゲームは徳山大にボールを支配される苦しい展開が続きました。0-2で迎えた後半の71分、井上莉那(2年)がゴールを決め1-2と反撃。攻勢に転じましたが、終了間際の87分、痛恨の3点目を奪われて突き放されてしまいました。

大城さんは「一晩でたくさんの部員がインフルエンザにかかってしまい、ウイルス感染の怖さを痛感しました」と振り返ります。大城さんと同じ沖縄出身で副キャプテンとして大城さんを支えてきた宮里さんも「東海予選ではPK戦ながら初めて静岡産大に勝ってのインカレ出場だったのに、ベスト8がかかる2回戦に出られなかったのは悔しい経験でした」(第35回「TOHOインタビュー」)と振り返りました。

2年生だった山田聖乃さん(2020年度副キャプテン)は大会直前にインフルエンザに感染してしまい1回戦から出場できませんでした。「インフルにかかったことを泣きながらヨネさん(米澤好騎コーチ)に電話しました。2回戦の徳山大戦でやっとグラウンド応援席に駆け付けましたが、自分が感染源だったのではという申し訳なさと悔しさで、祈るような思いで声援を送り続けました」(第65回「TOHOインタビュー」)と無念そうでした。

<主力メンバーがインフルにかかってしまい、厳しい試合になると覚悟はしていました。試合前の円陣では、今いるメンバーで闘うしかない!だから、楽しんでやろう!と声かけました。インフルエンザで負けたとか言い訳にしたくなかったし、インフルエンザで出れなかったメンバーの分まで最後まで全力で闘ってやる!東邦として恥ないプレーする!という気持ちで試合にのぞみました。吹っ切った感じでした>

大城さんは寄せてくれたメールにこう書き込んでいました。

早稲田の空中戦にひるまず

早稲田の激しい攻撃に立ち向かうGK早川さん(2019年12月26日)

2019年度の第28回インカレには早川このみキャプテンのもとで6年連続出場を果たしました。1回戦の対戦相手は姫路獨協大学(関西第3代表)でした。2015年度の第24回インカレで、仲里キャプテン率いるチームが1―9で大敗し涙をのんだ相手です。愛知東邦大はその姫路獨協大を2―0で退け、4年ぶりに雪辱を果たしました。

そして2回戦で対戦したのは早稲田大学(関東第2代表)でした。早稲田は前年の第27回インカレで日本体育大学にインカレ4連覇を阻まれ、王座奪回を狙う強豪校です。早稲田はコーナーキックから長身を生かしてのヘディングゴールや、セットプレーを着実に決めてきました。愛知東邦も1点を先制された直後の11分、1年生の千賀夏希(安城学園)が初得点、後半の76分には1年生神谷千菜(聖カピタニオ女子)が、大会2得点目となるゴールを決めましたが及ばず、2―5で敗退しました。早稲田大はこの年も決勝戦に進みました。

応援席では駆け付けた吹奏楽団や選手の家族とともに、初代監督の長谷川望氏やOGたちも声援。試合後、2019年度から監督となった米澤好騎監督が、「選手たちは早稲田を相手にひるむことなく堂々と立ち向いました」と選手たちの健闘をたたえていました。

キャプテンでGKとして早稲田の空中戦に立ち向かった早川さんからのメールです。

<早稲田大学は基礎もしっかりしているうえに、体の強さ、スピードも兼ね備えているチームだと感じました。私たちは失うものは何もない、挑戦者としてがむしゃらに戦い抜くことが出来ました。1年生のナツキ(千賀夏希)がゴールを決めた時、みんなが走って駆け寄っていく姿を後ろから見ていて、本当にこのチームっていいなと思いました。失点もセットプレーからがほとんどで、崩されることがほとんどなかっただけに、より悔しいと思いました。試合が終わった瞬間、もちろん悔しさもありましたが、最後までやり切れたこと、このチームでここまで来れたことが嬉しく、達成感、そして支えてくださった皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいでした>

7年連続8回目インカレ出場ならず

インカレ出場をかけた静岡産業大戦を前に。前列中央が田中さん

歴代キャプテンたちが寄せてくれたメールの最後は2020年度キャプテンの田中梨華さんからです。歴代11人のキャプテンでは初の教育学部生です。新型コロナウイルスが猛威を振るう中、インカレ東海予選も無観客、変則日程となり、選手たちにとっては厳しい環境の中での対応が求められました。愛知東邦大学は残念ながら予選4位に終わり7年連続8回目のインカレ出場はなりません。田中さんから届いた無念の思いがつまったメールです。

<新チームの方針や、どうやってチームをつくっていくか沢山話し合い、考えました。しかし、いざチーム始動というときに新型コロナ感染症が広がり始め、新1年生を迎えて間もなく、活動は動自粛をせざるを得ない状況になりました。約2か月間の活動自粛が明けてもチーム練習をすることが難しく、個人や小グループでの練習が続きました。予定されていた対外試合や遠征などがほとんど中止になり、自分たちの中で高め合うしかない状況でした。でもそれは、どのチームも同じで、言い訳できないことはわかっていました。

インカレ予選が始まりました。勝たなければいけない試合に勝ちきれず、本戦出場への条件はどんどん狭まっていきました。勝てば出場の可能性が残る静岡産業大学戦。全力を尽くしましたが0―1で負け、先輩方が築き上げてきてくださったインカレ連続出場の歴史を途絶えさせてしまいました。これまでに経験したことのない悔しい気持ちでいっぱいでした。現実を受け入れられない日々が続きました。とても辛い1年間でした。グラウンドで時には楽しく、時には真剣にサッカーと向き合い、仲間と一緒に目標に向かって頑張れた日常がとても幸せだったと感じています>

法人広報企画課・中村康生

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