検 索

寄 付

TOHO
INTERVIEW

2015.09.30

【第12回】丁寧に時間をかけた授業が評価されてうれしい。現場の生の声を授業に

人間学部人間健康学科

肥田幸子准教授

臨床心理学

肥田幸子(ひださちこ)

神戸市出身。金城学院大学大学院人間生活学研究科人間発達学専攻(修士課程)修了。病院臨床心理士などを経て2007年に本学に講師として赴任し2010年4月 から現職。少年院での永年の矯正教育支援で2009年に法務大臣表彰。2013年度から科学研究費助成を受けて発達障害傾向をもつ大学生の就労支援の研究に取り組む。著書に「不登校を母親の視点から考える」共著(唯学書房)など。

 愛知東邦大学が2015年度から制定した優れた授業実践をした教員の表彰規定で、人間学部の肥田幸子准教授が経営学部の大勝志津穂准教授とともに、初の「優秀教員」として表彰されました。肥田准教授の授業に対する学生評価は平均4.2(5段階)。「授業準備とフォローには丁寧に時間をかけています」 と語る肥田准教授に喜びを語っていただきました。

――「優秀教員」での表彰、おめでとうございます。どんな点が評価されたと思いますか。

 頑張って授業をやってきたので、表彰されたことはとてもうれしかったです。評価が形になったわけですから。今回は制度が出来て初めての表彰ということで、選定方法がよくわからず、「とりあえず肥田さんにしておこう」ということになったのだと思いますよ。でも、学生たちの評価が4.2もあったということで学生が評価してくれたことがまずうれしいですね。20人ほどのクラスだと互いに顔が見えるので、学生たちも低い評価はしにくいと言われていますが、私は100人、150人、200人規模のクラスでも高い点数だったことが、今回の選考につながったと聞いています。私の専門は臨床心理学で、学生たちの反応を見ながら内容のレベルを変更したり、自分の体験をした事例をはさむことで学生の注意を引けることも強みかも知れません。

――特に手応えを感じている授業はありますか。

 「教育相談」や「カウンセリング概論」などの教職科目です。人間学部は中学、高校の保健体育教員の免許を取得できますが、教員になろうと学生たちは授業中の目の輝きが違います。私は東邦高校1年を対象にしたメンタルヘルス調査のほか、週1回ほど名古屋市内の中学校にスクールカウンセラーとして出向いています。職員室では先生たちと机を並べながら、先生たちの悩みとともに、生徒たちの荒れ、悩みを肌で感じています。学校は、生徒たちの家庭や生育の問題も含め、問題に対応するため、学年団、校長、教頭を含めたチームでの対応に加え、私たちスクールカウンセラーなど外からの意見も取り入れながら立ち向かっているからです。「教育相談」の授業では、こうした学校現場の事例が授業に反映させられることも 、学生たちの目を輝かせる大きな要因になっているのだと思います。

――科学研究費の助成を受けて、就業困難が予測される学生たちへの就労支援の研究にも取り組んでいますね。

 学生たちの中には、学業には問題はないものの対人関係能力が低く、就職活動や就業しても困難が予測される学生がいます。こうした学生たちのために、過去の経験や現状から判断した将来を推察する「見通し力」と定義した尺度を、4年間の学生生活と、就職活動の支援につなげるシステム作りに役立てていこうという研究です。就業困難が予測される学生たちに何かしてやれることはないかというのが臨床心理士でもある私の使命だと思っていました。教員としての定年まであと数年ですが、「見通し力」を使って、こうした学生たちをフォローアップするシステムを作っていくのが今の私の願いです。

――肥田先生や人間学部の澤田節子学部長、尚爾華先生、中野匡隆先生が9月4日に地域住民向けに本学で開催した「ふまねっと運動」体験教室が盛況でした。

 「ふまねっと運動」は「ネットを踏まないように歩く」ことから名づけられた高齢者 向けの歩行機能・認知機能の改善を目的にした歩行運動です。 この運動は脳の機能を高め、認知症の予防に効果を上げることが裏付けられています。私たちは地域創造研究所の地域健康づくり研究部会として、それぞれの専門分野の立場から昨年4月以降、名東福祉会館で、「ふまねっと運動」の普及に取り組んでいます。私は、お年寄りたちが楽しみながら軽運動を続けることが心理面にどのような効果をもたらすかのデータを集めていますが、近々、論文として発表するつもりでいます。

――参加者の中には、大学の先生に直接指導してもらえることを誇りに感じているお年寄りも多いと聞きました。名東区では唯一の大学である本学の立派な地域貢献ですね。

 名東福祉会館での「ふまねっと教室」には、学生たちもリーダー役として参加し手伝ってもらいました。お年寄りの皆さんにとっては、若い学生たちとの触れ合いの方がうれしいのだと思います。普段、若者たちと話す機会が少ないだけに すごく喜ばれました。中野先生のゼミ生やうちのゼミ生も たくさん参加してくれましたし、授業では見られない、学生たちの予期せぬ能力をみることができました。

――学生たちへのエールをお願いします。

 「ふまねっと」教室を手伝ってくれた学生たちもそうですが、本学の学生たちには、生きる力というか、たくましさを感じます。勉強は苦手だと思っている学生も多いかも知れませんが、社会に出たら十分やって行けるだろうと思っています。大切なのは自信を持つことです。大人でもそうですが、人は自信がないと動けません。今は望み通りの自分ではないかも知れない。でも、 明日の自分は今日の自分よりもっと良くなっていくに違いありません。今の自分に自信を持って、一歩を踏み出してほしいと思います。

「今の自分に自信を持って一歩を踏み出してほしい」と学生たちエールを送る肥田准教授

オープンキャンパスで模擬授業をする肥田准教授(7月26日)

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