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寄 付

TOHO
INTERVIEW

2015.09.18

【第11回】震災ボランティアから学んだ行動する勇気。卒業後は被災地を旅してみたい

ボランティアサークルCOCORO初代代表

岡本早葵さん

人間学部人間健康学科4年

岡本早葵(おかもとさき)

静岡市出身。県立清水西高校普通科福祉コース卒。小学校からバスケットボールを始め、高校バスケット部では3年生の時に県内ベスト4。『ちびまる子ちゃん』の著者であるさくらももこさんは同校の大先輩。2012年愛知東邦大学人間学部人間健康学科入学。宗貞秀紀教授(地域福祉論)のゼミに所属。

 東日本大震災が発生した2011年3月、静岡市の高校2年生だった岡本さんは、愛知東邦大学に入学した2012年の夏休み、初めての東北の被災地でボランティアを体験しました。学生生活最後の夏休みである今年9月までに参加したボランティアツアーは8回。岡本さんはボランティア体験を通して、「行動する勇気を学んだ」と言います。

――東日本大震災が起きた2011年3月11日から4年半が過ぎました。当時は高校2年生ですね。

 小学校から高校までずっとバスケットをやっていました。派手なことが苦手で、中学生のころから、将来は福祉系の仕事に就いて人の役に立ちたいと思っていました。県立清水西高校に進学したのは福祉コースがあったからです。大震災が発生した時は、学校でも福祉コースの立場から被災についていろいろ調べましたし、3年生の夏休みにはボランティアに行こうかという話も出ました。しかし、みんな部活もあったりして簡単には動けず立ち消えになりました。愛知東邦大学に入学し、ボランティア関連の科目を持っていた宗貞秀紀先生の授業を受けていたこともあり、1年生(2012年)の夏、大学生協が募集する東北復興支援ボランティアに参加し、初めて被災地を訪れました。宮城県の七ヶ浜町です。

――七ヶ浜町は太平洋沿岸の小さな町ですが町の4分の1が津波で浸水しました。どんなボランティアをしたのですか。

 水田や畑のがれき拾いや子どもたちの学習支援です。大震災から1年半近くたっていたこともあり、大きいがれきはもうありませんでしたが、農地が海水を被っていたためか、緑が少ない、土色の風景が広がっているという印象でした。今年夏に訪れた時は、緑がこんなにも増えたんだと感じました。学習支援では小学生たちの夏休みの宿題の仕上がりを見ながらサポートしました。狭い仮設住宅では、子どもたちが落ち着いて勉強できる環境がないことを知りました。2年生の夏には南三陸町にも出かけましたが、七ヶ浜町に比べてまだがれきが片付いておらず、漁具の補修も手伝いました。

――4年間のボランティア活動でいろんな人たちとの出会い、様々な体験があったのでは。

 生協主催で6回、名古屋のNPO主催で2回の計8回のボランティアに参加し、七ヶ浜町を中心に南三陸町、石巻市、名取市も訪れました。南三陸町を訪れた2013年は2020年東京オリンピック開催が決まった直後。泊まった旅館の女将さんが、「これだけオリンピックで盛り上がると、被災地のことは次第に忘れられていくのかも知れませんね」という言葉が胸に突き刺さるようでした。今年9月に行った石巻市では公営住宅がたくさん出来ていましたが、経済的な理由で、仮設住宅から移れないでいる人もいるという話も聞きました。七ヶ浜町では地元の人と一緒に畑仕事をしましたが、うまく会話が進まずもどかしそうな学生もいました。ボランティア活動とは人と人とのコミュニケーション、相互関係で成り立っているんだなあと思いました。

――ボランティア参加では費用はどれくらいかかるのですか。

 生協主催だと4泊5日か3泊4日で参加費1万円。東京からの参加者と合流しての活動で、新宿から利用する往復バス代が3000円。これに名古屋~東京のバス代が往復1万円はかかります。新幹線なら1時間40分とはいえ、学生にとって新幹線は高すぎます。費用を捻出するためにずっとコンビニでアルバイトを続けました。今年9月は、東北でのボランティアから帰ると東日本豪雨がありました。ゼミの友人たちとボランティアに行こうかと相談しましたが、残念ながらお互いにお金の面から動けず、10月になったら行こうかということにしています。

――被災地支援のボランティアにかかわって得たものが多かったのでは。

 自分は高校時代から、なかなか一人では行動できませんでした。大学に入ったら東北にボランティアに行こうと思っていましたが、一方では友達が一緒でないと心細いという自分がありました。しかし、一人でも行くことに決めました。自分で決断することが大事だということに気づいたからです。行動する勇気を学んだと思います。昨年(2014年)夏、宗貞ゼミの仲間たちを中心に呼びかけて「ボランティアサークルCOCORO」を作りました。名前の由来は「人の心の温かみ」を感じてもらいたかったからです。私の力量不足もあってまだ十分な活動実績は残せていませんが、今年夏2回の生協主催ボランティアには、8月には宗貞先生も含め4人、9月には7人の宗貞ゼミや経営学部の3年生たちと一緒に参加することができました。このメンバーたちが、これからの「COCORO」の活動を引っ張って行ってくれるだろうと期待しています。

――就職は決まりましたか。

 福祉関係の会社に就職します。訪問介護の仕事が中心になると思いますが、仕事に慣れたらぜひ一度、これまでボランティアで訪れた被災地を旅してみたいと思います。南三陸町の女将さんは、被災地が忘れられていくのではと心配されていましたが、これからも被災地を忘れずに生きていくために、どんな関わり方をしていくべきなのか、そのヒントを見つける旅になればと思っています。

「卒業しても被災地のことは忘れてはならないと思う」と語る岡本さん

宮城県名取市での農地再生作業のボランティア(今年9月、前列右から2人目が岡本さん)

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