愛知大学野球秋季リーグ2部優勝決定戦(プレーオフ)が10月22日から名古屋市瑞穂区のパロマ瑞穂球場で行われます。初出場の愛知東邦大学が挑むのは1部実績もある愛知大学。勝てば翌週の1部入れ替え戦出場が決まります。ゲームアナウンスを担当する硬式野球部マネジャーの福田さんは、「晴れ舞台に東邦勝利のアナウンスを届けたい」と張り切っています。
――10月16日に愛知東邦大学が東海学園大学に逆転サヨナラ勝ちし2部Aリーグ優勝を決めました。試合終了を告げたアナウンス内容を再現してもらえませんか。
東邦は前日に東学にコールド負けしており、この日も8回表までは0-2。アナウンス席で東学女子マネジャーの隣に座りながら、「野球は9回までは分らない」と東邦の反撃を期待していましたが、やはり心配でした。9回裏2アウトからの逆転劇でしたから私も興奮しました。東学マネジャーが、「えっ、嘘でしょ」とがく然とする横でマイクを握りました。「ご覧のように、本日の第2試合、愛知東邦大学対東海学園大学の試合は3対2をもちまして愛知東邦大学が勝ちました」。ドキドキでした。後片付けを済ませ、大喜びの部員たちが集まっている1塁側ベンチに向かって走り出していました。
――硬式野球部のマネジャーはどんなことをしているのですか。
男子マネジャーは裏方の仕事はもちろん、グラウンドに出て、選手のサポートをしていますが、女子マネジャーは裏方に徹しています。愛知東邦大学のマネジャーは4人。リーグ戦では4年生の1人がベンチに入りスコア記録も担当します。残る3人は本部席に入り、私は相手校女子マネジャーと並んで放送席に座り、それぞれ自校のメンバーや打者の紹介、選手交代の紹介などをアナウンスします。他のマネジャーはメンバー表を作ったりスコアを記録したり、試合途中に審判に飲み物を出したりもします。愛知大学野球連盟での各大学の監督、マネジャー、審判との会議にも出ますし、連盟で広報という仕事(役割)になった時は、連盟ウェブサイトに試合速報記録の入力もします。
――リーグ戦では第1試合の開始が午前10時。大学からバスで試合会場に向かうわけですから、朝の始動もかなり早いのでは。
自宅が豊川市なので、試合がある土、日曜日は午前4時半から5時には起きています。最寄りの名鉄豊川稲荷駅から電車に乗り込み、国府駅で本線に乗り換えて名古屋駅へ。地下鉄東山線で一社に向かいます。一社から大学まで歩き、大学からバスで試合会場まで部員たちと向かいます。帰りはこの逆で、平日練習では帰宅は午前0時近く。豊川稲荷駅への最終に間に合わず、家に電話して国府駅まで迎えに来てもらうこともあります。試合のない平日も1時限の授業がある日は6時半には電車に乗っています。授業の予習や課題提出などでは空き時間を有効に使うよう心がけています。
――高校時代も野球部の女子マネジャーだったのですか。
中学時代はソフトボール部でしたが、高校では部員が集まらずソフトボール部は廃部予定になっていました。もう一人の女子と一緒に野球部に入り、3年生まで女子マネジャーをしました。大の中日ファンだった祖父の影響で野球は大好きでした。新城東高校の野球部員は60人ほどで、現在66人の愛知東邦大学よりは少ないくらいでした。3年生の時にベスト16まで勝ち進みました。練習試合や地区大会でのアナウンスも女子マネジャーの仕事でした。3年間、じっくり高校野球を見てきたことで、さらに野球技術が磨かれた大学野球を見る楽しさが少しは分かるような気がします。
――試合中のアナウンスは大変ですか。
試合の流れを止めないよう、選手交代などではタイミングよく言うように、そして間違えないように心がけています。本部席はバックネット裏にあり、キャッチャー位置から写真が撮れるのでカメラも持ち込んでシャッターチャンスも狙っています。打順や守備位置の変更は自分でチェックしますが、練習試合などでは、一度に大量の変更があり、審判も混乱する場合もあり気を使います。上手なアナウンスをする女子マネがいる大学の試合がある時は出かけていって、録音して何度も聞いて研究したこともありました。イントネーションや声が聞きやすく、まるで甲子園球場で聞いているような気になりました。自分ではかなりうまく話せたかなと思っていても、部員たちからは、「相手校の方がうまかった」とズバリ直球を投げ込まれたように厳しく言われることもあります。
――3戦勝負のプレーオフはパロマ瑞穂球場で行われます。学生野球晴れ舞台でのアナウンスですね。
大学グラウンドと違って、パロマ瑞穂球場には本部席、審判席、放送席があり、放送席からのアナウンスになります。地下鉄(名城線「瑞穂運動場東」、桜通線「瑞穂運動場西」下車)でも行ける晴れ舞台です。夏の甲子園での東邦高校の活躍など、高校野球はテレビで見慣れている方も多いと思いますが、大学野球は高校球児たちの成長ぶりを見ることができるチャンスでもあります。愛知東邦大学の硬式野球部は2016年シーズンで、「歴史を創る~今日の一歩が勝利への一歩」を掲げて頑張ってきました。その証(あかし)になるかもしれない歴史的な瑞穂球場での晴れ舞台です。ぜひ多くの皆さんに応援に駆けつけてほしいと思います。