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TOHO
INTERVIEW

2023.12.19

第100回 アスレティックトレーナーとして選手の怪我の実態調査

人間健康学部人間健康学科

萩原 麻耶 講師

萩原 麻耶(はぎわら・まや)
群馬県前橋市出身。日本女子体育大学体育学部体育学科卒業。ミネソタ州立大学マンケイト校を卒業しカリフォルニア大学大学院ペンシルバニア校アスレティックトレーニング専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ医学専攻修了(博士)。新潟経営大学講師などを経て2023年から現職

萩原講師は、日本でまだアスレティックトレーナーが知られていなかった2000年代前半にアメリカに渡り公認トレーナー資格を取得。「フィギュアスケート選手だった学生時代、怪我に悩まされたから」と明かします。現在はトレーナー育成に従事しながら、スポーツ選手の怪我を防ぐために必要な実態調査を進めています。最近は女子サッカー部のトレーナーも始めました。

――アスレティックトレーナーはどんな仕事ですか。
 トレーナーには色々な種類があります。アスレティックトレーナーは怪我した選手のリハビリをしたり、テーピングをしたり、ストレッチをしたりして、選手のコンディションを元に戻す仕事が主になります。トレーナーと聞いてすぐ思い浮かぶような、技術向上のために筋肉や体幹を鍛えるトレーニング指導ではなく、リハビリをして、怪我をした選手を復帰させて、再び怪我をしないようにするトレーニングが専門になります。

――お医者さんみたいな感じ。
 私の持っているNATA(全米アスレティックトレーナー協会)の公認アスレティックトレーナー資格はアメリカでは国家資格です。日本で言うと理学療法士と同じ。勉強する内容は医学の知識はもちろんですし、レントゲンなどは取れないですけど、医師と同じく怪我を評価するためのテストもするので、トレーナーの中でも一番医療に近い分野です。

――アスレティックトレーナーを目指したきっかけは。
 小学校から大学までフィギュアスケートをやっていました。その影響で腰痛がひどくて、どうしていいかわからず悩んでいたところ、高校3年生の時、アメリカに合宿に行く機会があって、そこで初めて一流のトレーナーに出会いました。トレーニング方法も少し学びました。以前からトレーナーという職業に興味はありましたが、その方の仕事ぶりを見て、「トレーナーを目指そう」と思いました。それまでは体育教師になりたかったのですが、方向転換しました。

――アメリカに留学しようとしたのは。
 NATAの資格を取るためです。当時日本でははまだトレーナーという職業が認知されておらず、トレーナー養成の環境も今ほどしっかりとしていませんでした。アメリカで正規のトレーナー資格を取るために留学を決意しました。海外での生活にも憧れていたのも理由の一つです。

――トレーニングの現場だけでなくて、研究活動も進めようと思ったのは。
 アメリカでトレーニングの授業を受けて、どうしてこういう授業が日本にないのかと思ったからです。その当時、日本の大学ではアスレティックトレーニングを学ぶコースはなかったように記憶しています。アメリカで学んだことを日本で教えたい、トレーナー育成をしたいと考えたことが、教育現場に入るきっかけでした。

――研究活動について教えてください。
 怪我の予防についてです。怪我を予防するためには、まず、怪我がどのように起きているかを把握する必要があります。大学生の頃から傷害調査をずっと続けています。いつ、どこで、どのような状況で、どんな怪我が発生しているか、といった調査です。
プロの選手、トップレベルの選手、有力大学の選手などの怪我の情報はありますが、ごく普通の選手の情報が少ないんです。大勢いる特別ではない選手たちの怪我を調べて、怪我をする傾向がわかれば、それだけ大勢の選手の怪我を予防できます。その調査をしたいと考えています。今はサッカー選手の股関節の調査を進めていますし、来年度からは中京大学や名古屋学院大学などの先生たちと、人間健康学部の新入生全員を対象に共同で傷害調査を始める予定です。

――傷害に関する質問用紙づくりも始めた。
 怪我の詳細を把握するために、誰にも記入できるようなわかりやすい質問調査用紙を筑波大学などの先生たちと作り始めようとしています。一般の人の怪我の種類の区別などを細かく把握するためです。現状では怪我の実態を全てのレベルや年代で把握しきれてきません。調査を進めていきながら怪我が原因で引退した選手がどれだけいるのか知れたらとも思っています。

――怪我をしない身体づくりのための基礎調査ですね。
 才能があっても、怪我で選手生活を断念する方は結構多いです。怪我を予防するためには、やはりその実態がわからないと何もできない。怪我をしない身体づくりのためには小学生の頃からやるべきことがあるかもしれません。実態を把握していないとそれもわかりません。そういったこれまで誰も手を着けなかった土台の実態調査を始めようとしているところです。

――愛知東邦大学女子サッカー部のトレーナーも始めたとか。
 ゼミの学生が手伝ってくれて、その学生たちをトレーナーとして育てながら、 選手のケアやサポートを始めたばかりです。女子サッカー部にはアスレティックトレーナーが帯同していなかったので、何か役に立てるかなと思い、決心しました。

――学生へのメッセージを。
 私にとっては、大学生時代の経験が人生の財産になっている気がしています。色々なことを学んだ期間でもあり、海外へも行ったりしているので、学生の皆さんにも自分のしたいことを見つけて、結果はどうであれチャレンジして色々な経験を積んでいく4年間にしてほしいです。

――休日の過ごし方は。
 カフェ巡りが好きです。そこで作業や仕事したりしています。たまには論文を書いたりも。観光旅行も好きなので、まだ行っていませんが名古屋にはお城とか、色々ありますよね、これから訪れてみたいと思っています。でも、女子サッカー部のトレーナーを始めたので、いつ行けるかわからないですね(笑)。

アメリカ留学でのホストファミリーと

アメリカ留学中、友だちと湖遊覧

初めてトレーナーを担当した水泳チームと

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