検 索

寄 付

TOHO
INTERVIEW

2025.01.17

第105回 「マスターズ甲子園」で叶える元球児たちの青春夢舞台

人間健康学部

松村 雄樹 講師

松村 雄樹(まつむら・ゆうき)
三重県伊賀市出身。神戸大学発達科学部人間行動学科卒、同大大学院人間発達環境学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。スポーツ社会学。マスターズ甲子園実行委員。2023年4月から現職。

全国の高校野球OB・OGがキャリアの壁を越えて出身校別に同窓会チームを結成し、共通の憧れであり原点でもあった甲子園の夢舞台を目指す「マスターズ甲子園」。2004 年にスタートしましたが、松村講師は翌年2005年に事務局があった神戸大学に入学したのが縁で運営に関わり、現在は実行委員を務めています。2024年は愛知東邦大学の元球児だった学生を含む8人が手を挙げ、運営ボランティアとして甲子園に乗りこみました。

――マスターズ甲子園事務局は神戸大学に置かれているんですね。
 そうで す。マスターズ甲子園をスタートさせたのは、恩師の長ヶ原(ちょうがはら)誠先生(神戸大学大学院教授)です。長ヶ原先生は鹿児島県立鶴丸高校の硬式野球部出身。鹿屋体育大学1期生で、カナダのアルバータ大学でPh.D.を取って神戸大学に赴任されました。アメリカ映画「フィールド・オブ・ドリームス」で描かれた、野球を通しての夢や希望、家族の絆のあり方に共鳴し、「あれを日本でもやりたい」と思っていたそうです。神戸大学に赴任されたことをきっかけにマスターズ甲子園をスターとさせました。

――神戸大学に入学したことでマスターズ甲子園と出合ったわけですね。
 はい。1年生の時、長ヶ原先生の授業の時に、院生の人が代わりに授業に来ていて、1年前の2004年の第1回マスターズ甲子園について話してくれました。めちゃくちゃ面白いものがあるなと思い、そのまま長ヶ原先生の研究室に行って、「何かできることはありますか」と申し出て、気づけば20年近く経っています。第1回大会では阪神甲子園球場との交渉も大変だったと聞いています。20年運営していくことにより、1日しか使えなかった甲子園球場を2日間使わせていただけるようになり、使用時間も延ばしてもらえるようになりました。

――参加しているOBチームは何校くらいですか。
 42都道府県で715校のOBチームが母体である全国高校野球OBクラブ連合に加盟して下さっています。愛知のOBチームは20校。東邦高校はまだ参加していませんが、愛工大名電など私学の強豪といわれるOB校も参加してくださっています。やはり他県でもそうですが強豪私立が入ってくると盛り上がりますね。昔は絶対勝てなかったけれど、今だったら勝てるんじゃないかと。大阪府は最近PL学園が入って35校になり、かなり盛り上がりました。11月9、10日に開催された2024年大会には、20都道府県で地方予選大会を開催し、選出された代表・選抜校の計20チームによる10試合が開催されました。かつて夏の甲子園開会式でプラカード係として出場した市立西宮高校OGの先導で入場行進。選手、スタッフ、運営ボランティアたちが集い、甲子園での感動を共有しました。

――2024年大会には愛知東邦大学からも学生8人が運営ボランティアとしって参加しました。
 愛知東邦大生がボランティアとして加わったのは私が着任した2023年大会からです。講義で「マスターズ甲子園」の紹介をしたら、1人が興味を持ち参加してくれました。2024年大会はその彼を含めて3年生ゼミ生が5人と、1年生3人が手を挙げて参加してくれました。8人中6人は高校時代に甲子園にあこがれた元球児です。授業について質問したくて私の研究室に来て、貼ってあるマスターズ甲子園のポスターを見て、「マスターズ甲子園を知っているんですか」とすごく驚いた様子で聞いてきた1年生もいます。彼は、「地元の母校チームでマスターズ甲子園のチームを立ち上げたいと思っているんです」ということでした。

――参加した学生たちの「甲子園」体験はどんな様子でしたか。
 甲子園へのあこがれはすごいんだなと改めて感じました。1日目の朝に、学生2人と一緒に球場入りし、まだ観客も選手もいない、甲子園球場の人工芝の上で泣きそうな顔をしていました。第1試合出場が愛知県代表の選抜チームで、選手誘導を担当していたのが、自分も母校OBチームを作りたいと言っていた1年生で、「顔を売って来いよ」と送り出しました。名刺も作って来ていて、あいさつしながら動き回っていましたが、さっそく2月にある愛知県の予選大会での運営の手伝いの要請を受けていました。各都道府県の参加チームが多くなると、毎回1回戦負けというチームも出て来きて、モチベーションが低下してくるので、3年間に1回は選抜チームで出るとか地方ごとに盛り上げの工夫もなされてきています。

――運営参加を通して学生たちの世界も広がるのでは。
 そうです。なんといってもマスターズ甲子園は学生が中心となり運営しているというところが他の同規模のイベントには無い特徴かなと思います。関西大学とか摂南大学とかの学生たちは近隣ということもあり、神戸大学で開かれる運営委員会にも加わって一緒にミーティングをやっています。2023年度より関西大学人間健康学部、摂南大学現代社会学部、大阪電気通信大学、愛知東邦大学、流通科学大学、九州共立大学スポーツ学部の6大学が協力大学として提携することとなりました。さらにマスターズ甲子園では毎年全国から400人くらいのボランティアが集まってくれます。同じ野球をやっていたとか、同じ学年とかでのつながりで、いろんな人と出会います。社会人もいます。いろんな人と話して、新しい世界を感じる可能性が広がり、様々な刺激を得られる良い場になっていると思います。

――改めて、マスターズ甲子園の意義と、学生たちに呼びかけたいことがありましたら、お願いします。
 マスターズ甲子園は単なるスポーツイベントではなく、大会理念として個人・地域・社会・未来への創造と発展に寄与していくことを掲げて、「個人のライフスタイルの活性化」だけでなく、「生涯スポーツ文化の振興」「世代間交流を通した地域再生」「スポーツを通した文化の継承」など様々な諸課題に対してアプローチをしています。今後は人間健康学部だけでなく、経営学部、教育学部と輪を広げ、学内外における学習機会の1つとして機能していくことを目指します。学生たちには呼びかけたいことについては、学生生活はいかにオプションを多くできるかというのが充実につながってくると私は考えていますので、部活やサークル、バイトだけでなく、一人ひとりのオリジナリティが発揮できる何かを見つけるためにいろんなアンテナを張って、どんどん実践してくれればいいかなと思います。

マスターズ甲子園は2024年度で21回目

学生生活はいろんなアンテナを張ってほしい

ニュージーランドで開催されたマスターズの世界大会(WMG2017)に選手として参加

マレーシアで開催されたマスターズのアジア大会で参加者調査

マスターズ甲子園での親子キャッチボールプログラムに長男と参加

WMG2017のアフターパーティーでサモアのラグビーチームと

学校法人 東邦学園

〒465-8515
愛知県名古屋市名東区平和が丘三丁目11番地
TEL:052-782-1241(代表)