今春の第92回選抜高校野球大会が新型コロナウイルス感染拡大のため中止となり、開会式で予定された優勝旗返還式が7月6日、2019年優勝校である東邦高校で行われました。当初は4月14日に行われる予定でしたが、東邦高校が臨時休校となり延期が続いていました。

　返還式は午後4時半からオーバルランチホールで行われました。感染対策で野球部員たちがガラス越しに見守る中、林泰成主将（3年）から優勝旗、吉納翼副主将（同）から優勝杯が毎日新聞社の高島信雄中部代表に返還され、東邦高校にはそれぞれレプリカが贈呈されました。

　藤本紀子校長は「無事返還できほっとしています。選手たちは気持ちを切り替え、県優勝を目指して全力で戦っています」とあいさつしました。返還式には山田祐輔監督、優勝時監督である森田泰弘総監督も参列しました。

　センバツ優勝旗が翌年の甲子園開会式で返還されなかったのは大会史上2回目。いずれも返還校は東邦です。1回目は戦争のため、2回目の今回は〝見えない敵〟コロナとの戦いのためでした。

　東邦高校の前身である旧制東邦商業学校は1941（昭和16）年春の第18回選抜中等学校野球大会で3回目の優勝を果たしましたが、大会は戦争のため5年間中断。東邦商業学校（赤萩校舎）校長室に保管された紫紺の優勝旗は、戦禍の中を守り抜かれ、1947（昭和22）年の第19回選抜中等学校野球大会（旧制最後の大会）開会式で返還されました。この時、甲子園球場には東邦商業の校歌が演奏され、校旗が掲揚されました。

　優勝旗が甲子園での開会式ではなく優勝校で行われるのも今回の東邦高校が初めてです。